同姓同名 続き
別件で、本当にこれはまずいと思うことがあって、昨日、違った、おととい、ワーカーさんに電話をしておいてよかった。
なんとかまだ自分が繋がっているので、面接の日までなんとか持ちこたえられるだろうか。
なんとしても持ちこたえなくちゃ。
ワーカーさんに、「過去のことに対しての反応が体に出てしまってるよ」って言われたのが、意外というか、そうなの?って思って、少し絶句しました。
私は、全く違うことを想像していたから。
まだ希望が持てるだろうか。
希望を持っていいだろうか。
ごめんなさい。今度こそ、今度こそ本当にって思ってもいいだろうか。
同姓同名
2ヶ月前、職場に新しい職員が入りました。
上司からお知らせということで話があり、新しく人が入ることを知らされた時、その名前を聞いて、私は硬直しました。
前夫と同じ名前。
散々殴られたあの男と同じ名前。
硬直するのと同時か、それより早かったかなんて、もう覚えていないけど、
「えっ!?」って、思わず大きな声が出てしまって、ミーティングの後、上司に呼び止められました。
「さっきどうしたの?知ってる人?」って聞かれて、説明をしました。
でも、大丈夫って思って、もう大丈夫だろうって思って、同じ名前だけど違う人だし、無関係の人だし、大丈夫って思って、上司にもそう伝えたのだけれど・・・
あれから、少しずつ体がおかしくなってしまったみたいです。
今は、たぶん、割と、ギリギリの状態で、頭がうまく働かない感覚がある。
ぼーっとしたり、ひどく頭が痛かったり、目がチカチカする感じ、目が回るような感じもすこしあるかな。
あまりよく眠れなくなったというか、過去にあったことが夢に見ることが出てきて、あの男が出てくるんです。
新しく入ったその人も夢に出てくる。
そうして、ふっとあの男にすり替わっていて、殴りかかってくる、首を締められそうになって、怖くて体が動かない、足がすくんでしまって、夢の中の私は逃げられないのです。
その途中のどこかのタイミングで、たいがい目が醒めるのだけど、ついに、この間は、目が醒めて、瞬間的に夢か現実かわからなくなってしまいました。
ぼんやりとしながら歩き出して、数歩歩いてようやく夢であることに気がついて、台所に向かい、水を飲みました。
ずいぶん久しぶりに夢か現実かがわからなくなるという状態になったので、とてもショックで、ただ同時に、「ああ、こうなったか。来たか・・・」という感覚もあって、大丈夫と言い聞かせていたけど、自分の体が反応し始めていることを実感したのです。
実感したと言っても、その時はまだ、大丈夫なような気もしていて、盛り返せるっていうか、負けないっていうか、飲み込まれないでいられるような、休息をとれば、気分転換でもすれば、自分をしっかり取り戻せるような気がしていて、あまり深くは考えていなかったんです。
でも、静かに静かに、体は反応を続けていて、今では、いろんなところに弊害が出てしまっている。
仕事、子育て、家事、いろいろ。
ふと過去のことが頭をよぎっていて、私の頭を占拠する。
頭が働かなくなってきている。
考えが整理できなくなっている。
目の前のことが手につかなくなっている。
簡単なことさえも、とても億劫で、体が重い。まぶたが重い。
チカチカする。
ぼんやりする。
私が危ない。
戦わないと、なんとか、打ち勝たないと。
危ない。
飲み込まれるな。
久しぶりのDVフラッシュバック 2017.01.10
暴力。
あの恐怖から逃れ、少しずつ自分を取り戻して、穏やかな日常を送っていた。
でも、いつも“あいつ”は容赦なく、なんの前触れもなく私の日常に入り込んでくる。
もう忘れたつもりでいた。
もう解放されたつもりでいた。
もう全て過去のつもりでいた。
日常の中で、いまだ確かに心の準備をする瞬間があっても、それでも、『私はもう大丈夫だ』と思っていたんだ。
久しぶりに恐ろしい思いをして、これはけっこう危ないなと思って、ワーカーさんに電話をして、面談。カウンセリング。
いつもお世話になり、これまで幾度となくギリギリのところから救いあげてもらった。
「大変な思いをしたね」
他にも声をかけてくれたけれど、全ては覚えていない。
電話でも話してくれたことは同じようなことだったけど、はっきりと思い出せない。
ただぼんやりと、本当に大変なことだったねと、
無理もない状況だったはず、自分を責めることはない、決して自分を責めてはいけない、まさに起きたフラッシュバックはどうしようもないものだったはずだよ、頑張ってないんじゃない、過去にできてないんじゃない、弱いんじゃない、今まで必死で戦ってきたからこそ、たくさんのことに蓋をしてきたからこそ、大変な思いをしても一生懸命向き合ってきたからこそ、それを乗り越えてきたからこそ、自分を取り戻したからこそ、回復したからこそ、それでも起きてしまうことなんだよ、
決して自分を責めてはいけない、どうしようもないことだったんだよ、と。
ああ、そうか、そうなんだ、そうなんだな・・・
また私はこんなことになってしまったけど、しかたがないことだったんだ。
ワーカーさんの言葉をひとつひとつ噛み締めて、頭に、体に、染み込ませて、ゆっくりと呼吸を整えた。
それからポツリポツリと、私は伝えた。
直後の処理の段階では、平静を保っていられたこと、
どうしても必要に迫られあの場所に出向く必要ができたこと、
普段から外出する時にはいつもとても注意をして日常生活を送っていたこと、
あの空間に入っても、例え多少動揺することがあったとしても、何とかやり過ごせるだろうと思っていたこと、
実際、最初は動揺があってもなんとかいられたこと、
けれど、少しずついろいろなことが蘇ってきたこと、
それでも平静を保とうと努力したこと、
そうだ、『無になろう。私は何も感じない』と考え始めたこと、
でも、あいつはどんどん、どんどん私の頭の中に入ってきて、膨らんで、止まらなかったこと、
『感じない、私は何も感じない』と思っても、
あいつは、もっともっと膨れ上がって、溢れてきて、頭の中にいっぱいだ。
頭の中に、体の中に、入り込んでくる。
あいつは、私をあの頃に、あの日に、あの瞬間に、あっという間に引きずり戻す。
今が、今でなくなってしまう。
私がもうずっと忘れてしまっていたことまで、呼び起こし、引きずり出してきて、
やっとこの空間から逃れられると思った瞬間、歩き出すことができなくなっていた。
事務処理が終わったら、一気にここから駆け出そうと思っていたのに、私の足が動かない。
力が入らなくて、ふらふらしているようだった。
必死に言葉を発するけれど、はっきりとした声にならず、歩き出すこともできない。
早くここから出たいのに。
目の前の景色が歪んで、かすんで、近くの人が私の方を見るけれど、そばにいた人が大丈夫ですかと声をかけてくれるけれど、私の心と体はどんどんバラバラだ。
制服姿の人が通りかかる。スーツの人が通りかかる。背の高いワイシャツ姿の人が大丈夫かと声をかける。メガネの人の姿が目に入る。たくさんの男が、あいつが、私に近づいてくる。
あいつではないはずなのに、みんなあいつになってる。
みんなあの人だ。
私は、悲鳴をあげたような、あげなかったような気がする。
震えていた。震えは止まらなくて、女性が手を握って押さえてくれていた。
ガチガチに体が固まって動けなくなってしまった。
どうやら男性はだめだと私の周りにいた女性たちが気づき、私の周りを囲んだ。
視界を遮ってくれていた。
それでも、あの空間の中で、心配してくれる人たちは当然私に近づく。
私はその度後ずさりし、身を縮め、体を強張らせ、叫んだ(声になっていたかはわからない)。
「周りは気にしなくていい。見なくていい。目を閉じていいよ」と私の体を支え、手を支え、視界を塞いでくれた。
『なんとか、ここから出たいのだ、この空間が嫌なんだ』ということを伝えようとするけれど、その声は言葉にはならない。
手足がしびれて、感覚がなくなる。
意識が遠のく。
『負けるな。崩れるな。あいつに支配されるな。あいつが入ってくるのを許すな。消えろ。消せ。消えろ。』
無意識か意識しているのかわからない感覚の中、支えられている手を離したら、深い穴に引きずり込まれてしまうような・・・逃げられない。
相変わらず息が苦しくて、自分の体を支えられない。倒れそうだ。
自分を取り戻さないと。落ち着かないと。もっとあいつが入り込んでくる。
油断するな。隙を見せるな。
意識が飛びかけては戻り、飛びかけては戻り、何度も繰り返して、やっと言葉を絞り出した。
「外に出たい・・・ここにいたくない、ここが嫌だ」
「別れた旦那に殴られてた、〇〇だった、〇〇なんです、ここにいたくない、ここは嫌だ、嫌だ」
女性は、「ああ」と理解したと同時に、「えっ」と驚いて、「わかった。外に出ましょう」と言ってくれた。
両脇を抱えられ、階段をおりるけれど、足元がおぼつかなくて、その間にも心配してくれる人たちが私に近づく。
もう恐ろしくて恐ろしくて、“あの人”がいる、いや実際にはいない、けれども、私に見えている世界は、あの人に支配されていた世界そのものの中に一気に戻ってしまっていた。体はまるで棒のようで、人形のようで、全く動かなかった。
「あと少し、あと少しだから頑張って。周りは見ないで。支えてるからそのまま進んで」そう言われ、支えられながら、とてつもなく長い時間がかかってようやく外に出られたような気がした。
あの日から10日以上が経つけれど、まだしっかりと自分が戻ってこない。
何日もかかってこれを書き上げた。
夢を見る。鮮明な夢。
人目をすごく気にしている自分がいる。
フラッシュバックのあとから感じるこの体の痛みは何の痛みだろう。
楽になりたい。
自由になりたい。
最後の対面。
これでおそらく最後になるであろう夫との対面。
夫の佇まいを見て、その様相を見て、肌で感じて、あの人は何も変わっていないということを驚くほど実感した。
病気が治っていないことがよくわかった。
病院に通い続けているのだから、もっと落ち着いた様子なのだろうと考えていた。
状態は良好で安定しているというのだから、もっと、いやせめてもう少し落ち着いた様子で、堂々と語ることができるのだろうと。
私はそんな様子をずっと思い描いていた。
実際に対面した夫の様子は、随分違うものだった。
ずっとああやって生きて行くのだろう。
ずっと自分だけ守って生きていくのだろう。
歪んだ形であっても、どんな方法を使っても、
他人を欺いてでも、誰かを貶めるようなことをしてでも、
自分のことを守るのだろう。
悲しい人。
さみしい人。
そんな風にしか生きられない、かわいそうな人。
あの人が選んだ道だ。
あの人が自分で選択したこと。
私にはもう関係ない。
夫を病院に連れて行けなかったことも、治療を受けさせることができなかったことも、悔やむのは今日で終わりにする。
子ども達には申し訳なく思う。巻き込んでしまったこと。
ひとつずつ、片付けていこう。
いざ、検察庁へ・・・のその後の前に。
ここ数年で一変した私の人生。
人が生きていて、そうある事ではないだろう経験をいろいろと重ねることとなりました。
「助けて、助けて」と幾度も叫び、苦しんで苦しんで過ごした辛く長い時間もやがて通り過ぎていきます。
いかなることであろうとも、“経験“とは本当に人生の糧です。
そう思えるようになりました。
私は、いろいろな意味で強くなったのだと思います。
その貴重な人生経験のひとつ。
今回は、“検察庁へ行く”です。
が、DVに関することを思い出させるものであり、何しろ体調がよくありません。
『そんなことない、大丈夫』と思っていたら、私はもがいていただけだったのか、
ずっと夢見が悪く、体がとても疲れてしまっています。
私には少し回復の時間が必要なようです。