最後の対面。
これでおそらく最後になるであろう夫との対面。
夫の佇まいを見て、その様相を見て、肌で感じて、あの人は何も変わっていないということを驚くほど実感した。
病気が治っていないことがよくわかった。
病院に通い続けているのだから、もっと落ち着いた様子なのだろうと考えていた。
状態は良好で安定しているというのだから、もっと、いやせめてもう少し落ち着いた様子で、堂々と語ることができるのだろうと。
私はそんな様子をずっと思い描いていた。
実際に対面した夫の様子は、随分違うものだった。
ずっとああやって生きて行くのだろう。
ずっと自分だけ守って生きていくのだろう。
歪んだ形であっても、どんな方法を使っても、
他人を欺いてでも、誰かを貶めるようなことをしてでも、
自分のことを守るのだろう。
悲しい人。
さみしい人。
そんな風にしか生きられない、かわいそうな人。
あの人が選んだ道だ。
あの人が自分で選択したこと。
私にはもう関係ない。
夫を病院に連れて行けなかったことも、治療を受けさせることができなかったことも、悔やむのは今日で終わりにする。
子ども達には申し訳なく思う。巻き込んでしまったこと。
ひとつずつ、片付けていこう。